排気ファンモーター清掃(オーバーフロー)現場マニュアル|永和工業(2025年8月28日)
排気ファンモーター清掃マニュアル
工場・法人向け技術解説|永和工業株式会社
1. 排気ファンモーターとは

排気ファンモーターは、工場や事業所における換気システムの心臓部であり、粉塵・油煙・熱気などの効率的な排出を可能にする重要な設備です。換気効率の低下や異音、モーター故障は生産ラインや作業環境に直接影響します。
モーターの種類には軸流ファンモーター、遠心ファンモーター、ブロワーファンモーターなどがあり、それぞれ構造や清掃手順が異なります。軸流ファンは羽根が長く、清掃時に羽根の変形を防ぐ必要があります。遠心ファンはケーシング内にほこりが溜まりやすいため、内部清掃が特に重要です。

排気ファンモーターの外観や構造を把握することで、清掃・点検の効率が向上します。特に羽根や軸受け部分は定期的な確認が重要です。

モーターの種類に応じて、分解方法や清掃手順が異なるため、事前に構造を理解しておくことが安全かつ効率的です。
2. 清掃前の準備

安全対策
作業前には必ず電源を遮断し、ロックアウト・タグアウトを行います。安全帯、保護メガネ、手袋、防塵マスクの着用が必須です。高所作業の場合は脚立や足場の安定確認も重要です。
必要な工具・清掃用品
- ドライバー、レンチセット、六角レンチ
- ブラシ、ウエス、クロス、マイクロファイバークロス
- エアブロー機、掃除機、集塵機
- 中性洗剤、潤滑油、グリス
- 安全帯・保護具
清掃用トレーや容器を用意して、取り外したネジや小部品を紛失しないように管理します。
3. 分解手順

外装カバーの取り外し
モーター周囲のカバーを丁寧に外します。ネジや部品は番号を付け、分解順序を記録しておくと再組立時にスムーズです。
電線・端子の確認
分解前に電線接続状態や端子形状を写真で記録します。誤接続や配線間違いによる事故を防ぎます。
ファン羽根・モーター本体の分離
羽根の取り外しは軸受けを傷つけないように慎重に行い、部品ごとに汚れの程度を確認して記録します。モーター本体は水や洗剤が直接かからないよう注意してください。

取り外した羽根や部品は整理して、再組立時に正しい位置に戻せるようにします。
4. 清掃方法

羽根の清掃
羽根に付着した粉塵や油汚れは中性洗剤と柔らかい布で丁寧に拭き取ります。乾燥後、エアブローで残留物を除去し、羽根のバランスを確認します。バランスが崩れると異音や振動の原因となります。
モーター内部の清掃
ローターやステーターにはエアブローでほこりを除去します。ベアリング部には直接風を当てすぎず、必要に応じて潤滑油やグリスを補充します。モーター内部に水や洗剤をかけないよう注意してください。
5. 点検項目

- ベアリングの摩耗・異音確認
- モーター軸のガタ・回転滑らかさ
- 羽根のバランス・変形・破損
- 電気配線の絶縁状態
- モーター温度上昇の有無
6. 再組立と試運転

分解時の記録を元に正しい順序で組み立てます。試運転では異音、振動、電流値を確認し、異常があれば再点検を行います。
7. 定期清掃の推奨頻度
稼働環境に応じて半年〜1年に1回の清掃を推奨します。油煙や粉塵が多い場合は3か月ごとに実施すると、効率低下や異音の発生を防止できます。定期清掃記録を残すことで、メンテナンスの計画や報告に役立ちます。
8. トラブル事例と対策
事例1:ベアリング焼き付き
原因:潤滑不足。対策:グリスアップと定期点検を実施し、未然に防ぎます。
事例2:異音発生
原因:羽根バランスの崩れや異物混入。対策:清掃とバランス調整で改善可能です。
事例3:電気系統異常
原因:端子の緩みや配線劣化。対策:組立時の確認と絶縁テストを実施し、安全性を確保します。
9. 関連法規制と安全基準
労働安全衛生法に基づき、設備点検・清掃は義務付けられています。火災予防条例により排気設備の定期清掃も推奨されます。永和工業では溶接部とアース位置を3m以内に設定し、漏電防止を徹底しています。
10. 清掃の効果と長期メリット
- 排気性能の維持
- 異音や振動の軽減
- モーター寿命の延長
- 故障リスクの低減
- 省エネ・メンテナンスコスト削減
- 火災リスク低減、安全性向上
11. よくある質問(FAQ)
Q1: 高所作業での注意点は?
A1: 安全帯の着用、脚立の安定確認、落下防止用ネットや手すりの使用が推奨されます。
Q2: モーター寿命を延ばすポイントは?
A2: 定期清掃、潤滑油の補充、羽根バランスの確認、過負荷運転の回避が重要です。